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スポットライト vol6:スカイエックス

この目まぐるしい社会情勢において、ドローン・テクノロジーはあらゆる産業領域に浸透してきました。その過程で、ソリューションの費用対効果や実現可能性の高さだけでなく、それが必要かつ適切なアセットであることが継続的に証明されてきました。特に今日においては、強力で革新的で先進的で、かつそれ自体の便益がリアルタイムで測定可能なソリューションの必要性が浮き彫りとなっています。

SkyX(以下、スカイエックス)は、最先端の空からの監視ソリューションを開発しました。 そのすぐれた戦略、先進的なチーム、パートナーシップを通じて、スカイエックスの空中データアナリティクスは、競合他社をはるかに上回っています。たとえばそのエンド・トゥ・エンドのDaaS(data as a service)モデルによって、お客様は運用、保守、データ処理、分析などの完全な検査および監視パッケージの提供を受けることができます。検査と監視に関する市場ニーズの変化のなかにあっても、スカイエックスは一歩先を行っていると言えるでしょう。

今回は、スカイエックスのディディ会長兼CEOに、スカイエックスの市場優位性、そしてお客様に対して提供しているビジネス的・社会的価値についてお話を伺うことができました。

スカイエックスのソリューションについて教えてください
ディディCEO(以下略):私は、空からのデーターーいわゆる鳥瞰図ーーをシンプルかつ効率的な方法で提供するべく、2016年、SkyXを設立しました。より具体的には、最初の出発点として、石油およびガス業界に向けて、産業用ドローン領域での長距離ソリューションを構築することに焦点を当てました。そしてこれまでの5年間で、2世代のドローンと、自動離発着ステーション、包括的な統合ソフトウェアを開発し、市場に展開してきました。

エネルギー産業分野が直面している課題ーーインフラアセットとその運用を広大な地理空間規模で効率的かつ費用対効果の高い方法で監視することーーの検討を通じて、私たちは高品質の航空データの必要性にすぐに思い至りました。従来の点検方法では、高コストなインシデントの発生を予防することが求められるオペレーターたちを、現地に派遣することはできませんでした。このような背景から、弊社は現場のギャップを埋め、貴重なインテリジェンスを継続的に現場に提供するソリューションを設計することにしたのです。

このソリューションは、4つの最先端の相互運用可能なテクノロジーで構成されています。

  • SkyOneとSkyTwo垂直離着陸(VTOL)と長距離飛行機能を備えて社内で設計された弊社のドローンは、さまざまなセンサーペイロードを利用して、必要なデータを蓄積します。これらの機体は、現在米国とカナダで特許を取得しています。
  • xStation :ドローンが次のミッ​​ションに向けて再充電している間、シェルター、通信リレー、および気象監視を提供する全天候型地上ステーション。
  • SkyXOS :機体の運航管理を行い、パイロット、航空システム、地上局、およびデータ分析プラットフォーム間の通信をリンクする独自のソフトウェア。
  • SkyVision :機械学習アルゴリズムを活用して、ローデータの分析や異常の分類を行い、実用的なデータの洞察を生み出すためのデータストックおよび分析プラットフォーム。

地上ステーション「xStation」とVTOL機「SkyTwo」

地上ステーション「xStation」とVTOL機「SkyTwo」

どのようなニーズ、ユースケースがありますか?
現在私たちは、パイプラインのような長距離にわたって直線的に整備されたインフラアセットの点検と監視に注力しています。弊社のドローンは、ガス等の漏出や第3者の活動など、インフラ運用の中断につながるリスクのあるあらゆる地上での動きを検出することができますので、その時間と場所の情報が紐づいたエビデンスをお客様に提供しています。

より興味深いユースケースとして、他には野生生物の保護や密猟防止活動の支援、さらには山火事の監視と緊急の捜索救助などが挙げられます。

パイプライン付近における無許可での工事例

用地内での陥没エリア

ドローンの社会受容性についてどのように考えますか?
スカイエックスは多くの産業分野において注目を集めることができているので、現在、そして将来的なお客様と常にコミュニケーションを取っています。幸いなことに、お話をさせていただいているほとんどの方には、私たちのテクノロジーだけでなく、投資リターンや日常業務で弊社のソリューションの使用方法についても理解いただいています。もちろん、引き続き世の中に対してドローンの有用性を訴えていく必要はありますが、ドローンはもはや「もしも」の技術ではなくなったことを感じています。

スカイエックスの技術が社会にもたらすメリットは何ですか?
ドローンには多くのメリットがあります。たとえば、それは多くの人命を救えるということです。

米国のパイプラインおよび危険物安全管理局(PHMSA)が、3年間のパイプライン関連の事故による被害の平均をとったところ、約51人の負傷者と約13人の死者が出ていることがわかりました。しかし、パイプライン事故による死傷者の発生は回避できるものがほとんどです。

たとえば、カリフォルニアでは故障した伝送装置が火事になり、町全体に多大なる被害を与えました。ほかには、2019年の初めにメキシコで、トラウエリルパンの町を通るパイプラインが破裂し、その爆発により137人が死亡しました。その爆発の原因は、パイプラインでの第三者による無許可活動によってガスの漏れが発生し、そのことが把握できていないことにありました。 

スカイエックスは、お客様に人々の生命を脅かすようなインシデントの発生を防いでいただけるよう、インフラ管理の先見的なソリューションとリスク軽減戦略を実装する上で必要とするデータ・アナリティクスを提供しているのです。

スカイエックスの将来のビジョンについて教えてください
私たちは、ドローンによる空からのデータで可能になることについて、まだほんの表面をかじり始めたばかりです。予測モデリング機能については言うまでもなく、空撮写真から有用なインサイトを簡単に抽出できるようなデータ処理とアナリティクスの観点では、今後も飛躍が見られると思います。

写真測量処理から導出された数値標高モデル

さらに、世界各国の規制当局からのサポートによって、ドローンの完全自律航行システムが標準になるでしょう。 スカイエックスのような企業の未来は明るいと思います。

今後の目玉ニュースは何ですか?
先日、私たちは世界最大の石油・ガス会社の1つと、複数年にわたる数百万ドルの契約を結びました。その結果、現在、グローバル規模での急成長を遂げており、今後数か月以内には拡張計画をいくつか発表する予定です。

最後に
弊社のビジョン、ミッション、戦略、チームを継続的にサポートしてくれているDRONE FUNDに感謝いたします。

 

Edited by Tavis Sartin / Translated by Yuta Tsukagoshi and Taiga Ando