Drone Fund

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スポットライト vol.2 :セイバーウィング

将来の「ドローン前提社会」では、あらゆるユースケースに対応するドローン、さらには、あらゆる形とサイズのドローン――手のひらにおさまる地下点検および内部監視用の無人偵察機から、長距離監視および貨物用の超大型UAV無人偵察機まで――が活躍することになるでしょう。

私たちDRONE FUNDの投資先である米Sabrewing(以下、セイバーウィング)は、長距離で高ペイロードの大型カーゴドローンを開発しています。先日、セイバーウィングの創業者・CEOであるEdde Reyes氏(以下、エドCEO)からお話を伺いました。

 

セイバーウィングのソリューションについて教えてください
エドCEO(以下略):セイバーウィングは、世界初のヘビーリフトeVTOL(電動垂直離着陸)機を開発しています。機体認証などに関する自身の経験に基づいて設計・開発された機体によって、2,700 kgを超える貨物を、天候や昼夜を問わず、また滑走路や専門施設などを必要とせず、地球上の最も離れた場所へと輸送することができます。

どのようなニーズ、ユースケースがありますか?
弊社のプロダクト――RG-1「Rhaegal-B」――は、満載された貨物コンテナを地球上の任意の場所に、いかなる気象条件のもとでも運ぶことができます。小さなドローンであれば、空撮に活用したり、包帯やブリトーを1キロ先に届けたりするのには最適ですが、私たちの機体は、ほぼ3トン分の食品、水、薬、さらには医療用のフル装備などを、道路や鉄道、港や空港のない、数百または数千キロ離れた場所に届けることができます。私たちの機体に対する規制はないため、空港などの大量輸送インフラからも遠いエリアが、これまでにない新しいマーケットなります。

ドローンの社会受容性についてどうお考えですか?
残念ながら、都市型エアモビリティ(Urban Air Mobility:UAM)に対する世間の関心は、まだ偏っているように思います。私はUAMが普及する道として、Uberなどが予見しているようなプロセスではなく、その前段階に無人貨物ドローンがあると考えています。
まず、UAM対象の法規制はまだ存在しませんが、有人/無人の航空貨物分野にはもちろん規制があります。アメリカ領空ではこれまで25年以上にわたって「無人航空機/ドローン」が飛行してきましたし、アメリカに限らずヨーロッパや中東にかけても同様です。ただし、UAMには人が搭乗しますから、FAA(米連邦航空局)やEASA(欧州航空安全機関)、またはJCAB(国土交通省航空局)が、これらの機体カテゴリー専用の独自ルールを作成する必要があるのです。これはとても長くて難しいプロセスです。セイバーウィングは、FAAとの2年以上のコミュニケーションの末、実際の貨物の飛行、テスト、さらには輸送の許可を取得しました。この点について、一から新しいルールを作成する必要はありません。
社会受容性に関するもう1つの大きなハードルとして、実際のUAM市場がどうなるかまだ分からいという点が挙げられます。NASA(米航空宇宙局)は、UAMサービスの潜在的な市場規模に関するUberの調査を参照していますが、この調査に対する十分な検証・反証はまだ行われていません。そのため、UAM分野に対するVCの投資全般については、非常に投機的な印象をもっています。一方、貨物航空の分野には、100年以上の市場調査と分析の蓄積があります。これらの新しい規制を必要としない市場における無人カーゴドローンへの投資は、VCにとってもはるかに安全なのではないでしょうか。有人UAMに投資する前に、安全かつ効率的にビジネスの実績を積めるはずです。UAM開発に投資したとしても、今後10年間はその大部分が型式証明を受ける機会がない可能性さえあります。UAMの社会受容・社会実装は1社による調査に左右されていますが、無人の貨物航空分野にはそのような不確定さはありません。

セイバーウィングの技術が社会にもたらすメリットは何ですか?
弊社の技術によって、いままでの無人貨物航空以上の能力を提供することができます。救急隊員らが到着する前に、災害被災地に向けて直接支援物資を飛ばすこともできます。オペレーターの入力なしで自律的に動作する検出・回避システム「DAA」の開発により、私たちの機体は、他の航空機だけでなく地上の障害物も回避できます。これらのシステムが通常の旅客機に搭載されれば、乗客と乗務員の安全性を大幅に向上させるだけでなく、あらゆる気象条件下における運航の安全性も向上させることができます。鉄道網や国道網のような交通インフラにも革新をもたらします。

セイバーウィングのビジョンについて教えてください
航空貨物分野だけでなく、航空機の運用・保守・利用方法にも革新をもたらすことです。まず弊社の機体は、1日あたり16〜18時間のオペレーションを継続的に1年続け、さらには毎年4,000時間以上飛行できるように設計されています。またモジュールの組み合わせで機体が構成されているため、各モジュールの取り外しと交換を24時間以内で行うことができます。つまり機体点検のために格納庫を数日~数週間を占有することなく、すべての主要な検査を短時間で完了することができます。このように安全で長時間の運航と最短のダウンタイム(休止時間)を可能にする(=利益率の高い)機体の開発領域において、セイバーウィングは他社を大きくリードしています。

2020年、今後の目玉ニュースは何ですか?
機体の公式除幕式は、2020年5月1日に行われます。その際に他のニュースも発表しますので、それまでの情報公開はまだ控えさせていただきます。

最後に
Uberや他のUAMメーカーが最初に人を輸送する前に、きっとセイバーウィングが貨物、食料、水、災害救援物資を運ぶことになると信じています。ぜひ楽しみにしていてください。