スポットライト vol.1 : ドットレル
私たちDRONE FUNDは、新たな投資先企業Dotterel Technologies(以下、ドットレル)のショーンCEOにお時間をいただき、その素晴らしいソリューションと、それが将来的にドローン前提社会にもたらすメリットについて詳しくお話を伺いました。
ドットレルが有するノイズリダクションと音響技術は、ほぼ全てのユースケースでドローンのパフォーマンスを改善するだけでなく、UXをも大幅に向上させるユニークなソリューションです。日常生活での違和感を覚えることなくドローンが活躍できるようになるためには、これらが必須の技術であることが、インタビューを通じてお伝えできればと思います。
ドットレルのソリューションについて教えてください
ショーンCEO(以下略) : 当社のソリューションを構成するのは、低騒音で効率的に飛行するためシステム(シュラウドとプロペラ)と、ドローンからリアルタイムで明瞭な音声をキャプチャするためのペイロード(マイク)、この2つ※1です。私たちはニュージーランドのオークランドに拠点を置いていますが、主にアメリカとオーストラリアに顧客を抱えています。私たちのチームは、有能なドローン空力音響エンジニアと事業化のエキスパートで構成されており、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカの先駆的な音響研究グループとも緊密な連携を敷いています。
※1 シュラウドとは、一般に円筒状の覆いや囲いを意味します。ドットレルのシュラウドは、プロペラの周囲にプロペラガードのように取り付けて用います(下の写真を参照)。
マイクの性能についてはYouTubeをご参照ください:
どのようなニーズ、ユースケースがありますか?
当社の技術は、ドローンを使用するほぼすべての業界に適用可能ですが、セキュリティ分野やエンターテイメント分野と同様、公共用の緊急対応サービスにも重要です。当社の低騒音ソリューションによって、ドローンが生み出す乱流とノイズに関する課題を大幅に解消することができるので、たとえばセキュリティ分野では対象物へのさらなる接近が可能となります。そうすればドローンに搭載するセンサーのさらなる有効活用が期待できます。さらにエンタメ業界では、ドローンのノイズを撮影時に気にする必要がなくなります。私たちのソリューションを通じて、人々の近くでより安全にドローンの活用ができるようになるのです。
また当社のオーディオソリューションでは、ドローンを介した遠隔地の音声検出や、双方向コミュニケーションが可能です。たとえば緊急時にドローンを飛ばして、遠隔地にいる人と直接話すことができるようになります。現場の映像だけでなく、音声もキャプチャしてオペレーターに伝えることができるのです。将来的にはこのテクノロジーを応用することで、音声コマンドによるドローンの操縦も可能になるでしょう。
ドローンの社会受容性についてどうお考えですか?
ドローンが世の中に登場した当初は、多くの人々が胸を躍らせました。しかし今ではさまざまな場面でドローンが使用されるようになり、その音をノイズと見なす人も増えてしまっています。
たとえば、世界中で行われているドローンによる小包の配送試験のなかには、その絶え間ないノイズのために世間の不評を買った事例や、当局が騒音基準を設定してドローンの使用を制限するかたちで動いている事例もあると聞きます。そのため当社のノイズリダクション技術は、ドローンの社会受容性を高め、騒音の問題にとらわれずにドローンの商用可能性を追求するためには不可欠だと考えています。
ドットレルの技術が社会にもたらすメリットは何ですか?
今日のドローンは信じられないほど高度な視覚センサーを搭載しており、たとえば捜索や救助任務などを通じて人命を救うことも可能です。しかし私たちが地上で受け取ることができるのは、たくさんある情報のうちの1つ、つまり視覚情報でしかありません。地上オペレーターにとっては依然として、助けを求めて叫んでいる遠隔地の人々の声を聞くことも、銃声を検出することさえもできません。今のドローンは、遠隔地の人々とリアルタイムでコミュニケーションをとる方法を持っていないのです。私たちのオーディオシステムがオペレーターチームに提供するのは、ずばり「耳」です。これによって命を救うためのより良い意思決定を行うことができます。
ドットレルのビジョンを一言でお願いします!
私たちのチームは、ドローンのノイズリダクションに関する困難な問題を解決し、双方向通信のための機能を追加することによって、ドローンの可能性を最大限まで発揮するよう努めています。
2020年、今後の目玉ニュースは何ですか?
これまでのドットレルは特定の音響要件・安全要件を満たすために、当社の技術をカスタマイズして提供していましたが、今年はいよいよ、業界でスタンダード化している既製のドローンと統合できる製品を皆さまにお届けできそうです。これについては数か月以内に改めてお知らせさせていただきます!
最後に
小難しく聞こえたかもしれませんが、現在のドローン・テクノロジーは、ドローンにできるはずのことを少しずつできるようになっている段階にあります。様々なペイロードを運びながら、数多くの飛行時間を重ねています。そして新たに、自律航行や安全性の向上などの課題が目の前まで迫っています。ドローンがその商用可能性を真に発揮するためには、静粛性と双方向での音声通信が不可欠です。これにより多くのユースケースが改善されるばかりか、新しいユースケースが生み出されることは間違いありません。ドローンの商業的成功を実現することが私たちのミッションです。
Edited by Tavis Sartin / Translated by Yuta Tsukagoshi