Drone Fund

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【3.11から10年】DRONE FUND創業者・千葉功太郎からのメッセージを公開

あの日から10年となりました。改めてこの大きな節目にて、震災・津波で亡くなった多くの皆様の御冥福をお祈りすると共に、被災した全ての皆様のご復興を祈念いたします。この日に向けて多くの報道もあり、私たちが経験したことのない未曾有の災害は絶対に忘れたり風化したりすることがあってはならないと思います。報道や特集をしっかり見て、胸に刻みたいと思います。

私自身も日本の自宅が鎌倉市の海辺にあり、まさに津波は常に生活の脅威です。鎌倉市全体としても津波に対する訓練や警戒は意識が高く、保育園や学校も地震発生後1分くらいで避難開始する抜き打ち訓練がされてます。

その中で、自分がこの震災後10年で取り組めた1番大きなことは、ドローン・エアモビリティの実現化と社会実装化推進です。どの被災地の空も未活用で、道路が寸断され、渋滞し、緊急車両や物資を運ぶこともままならない被災地の現場の状況をニュースで見るたびに、「空から人やモノを運べたら、どんなに被災地の役に立つだろうか」と考えてきました。もちろんテクノロジーは万能ではありませんので、過剰な期待や夢はできない現実もあります。それでも、私たち日本は災害と戦っていかなくてはならず、法整備とテクノロジー、公共事業と民間産業化のバランスとスピードを持ち、常に日常的に空が利活用されることで、いざ災害発生時にもスムーズな災害空利活用が実現すると信じてます。

ドローン、エアモビリティ(空飛ぶクルマ)は、3つの役割を有しています。
【1】意思決定を支援する「リモートセンサーとしての役割」
【2】作業を支援する「フィールドロボットとしての役割」
【3】輸送・移動を支援する「モビリティとしての役割」

現在、災害対応分野では、「リモートセンサー」として被災状況を機動的に調査・把握するためのツールとして活用されています。

具体的には、消防本部(総務省)、TECH-FORCE(国交省)、自衛隊(防衛省)をはじめ、全国の公共セクターへの配備が進んでいます。例えば 2020年6月時点では、全国726の消防本部のうち、約43%の309本部がドローンを保有しています。また一部の自治体や一部の地方整備局は、災害時のドローンを用いた災害調査を行うことを目的に、民間企業やJUIDAをはじめとするドローン関係の業界団体との災害協定を結んでいます。

また遠隔地をはじめとする低価格で機動性のあるニーズに対して、医薬品や生活必需品の配送に関する「レベル3」の実証実験が、全国で飛行数を伸ばしています。ANAと武田薬品の共同事業などが例です。

すでに災害現場での実運用も出ています。たとえば2019年10月、台風19 号の影響で孤立した東京都奥多摩町の一部集落に向けて、東京都の要請のもと、ANAやNTTドコモ、世界で初めてドローン銘柄で上場した国産ドローンメーカーのACSL(自律制御システム研究所)らが、食品の配送を実施しました。

国内では愛知県に拠点を置くSkyDrive は、ペイロード30kg の大型カーゴドローン、そして 2人乗りのエ アモビリティを開発しています。エアモビリティの社会実装は、三重県、福島県など国や一部の自治体も積極的に推進していますが、将来的には、ドクターヘリや救助ヘリの サポートや代替も見込めるかもしれません。また大型固定翼ドローンを開 発するテラ・ラボは、災害時の迅速な情報収集と解析するソリューションの研究開発を、福島県南相馬市などの地方自治体と連携して進めています。 これらのプロダクトやソリューションが、平時から安定的に運用されること で、有事での活用シーンも増えていくと考えています。

また被災地が復旧・復興する段階においても、ドローンやエアモビリティは 活用されていくのではないでしょうか。今日でも、既にドローンは多くの建設・土木・測量の現場で活用されています。近年、デジタルツイン関連の技術発展も目覚ましいので、ドローン産業も、今後 10 年間における建設・土木・測量産業の DX と連動することで、被災地の迅速な復旧・復興、まちづくりにも貢献できるようになるはずです。

改めて2020年度は、コロナ禍を通じて、たとえば現場で医療・救命にあたる方々、インフラやプラントの稼働、教育や福祉を支える方々の現場を支えることの 重要性が改めて浮き彫りになったと思います。10 年後の広域災害に備え、 ドローンやエアモビリティを、遠隔制御で効率的に運用し活躍できる社会・産業をつくっていかなければなりません。

さいごに。DRONEFUNDは、2017年に1号ファンドを、2018年に2号ファンドを立ち上げ、45 社以上の国内外スタートアップに投資を実行してきました。機体メーカーやサービスプロバイダーだけでなく、周辺技術/要素技術のスタートアップにも投資をしてきました。

私たちのビジョンは「ドローン・エアモビリティ前提社会」です。これを実現するためには、さらに社会実装を推し進める必要があると考え、2020年 5月には、100億円を調達目標とする 3号ファンドの設立を発表し、昨日50億円のクローズが完了した発表もしました。3号ファンドのコンセプトは、5Gをはじめとする通信技術の徹底活用を図り、社会受容性の向上に寄与することです。すでにSMBC日興証券さま、NTTドコモさま、清水建設さまなどにLP投資家としてご参 画いただいていますが、スタートアップへの投資活動だけでなく、こうした LP企業の皆様や、国・自治体との連携促進をますます図りながら、一丸となって ドローンの社会実装を推進していきます。

「ドローンやエアモビリティのソリューションを水や空気、インターネットのように当たり前に享受できる社会」=「ドローン・エアモビリティ前提社会」の追究が、10年後、20年後の誰かの命を救い、暮らしを支えることになると信じ て、引き続き空という新産業の普及にむけ、私自身及び強い絆の同志たちとコミットしてまいります。応援ください。よろしくお願いします。

 

2021年3月11日 千葉功太郎